こんにちは!東京都江東区にあるパーソナルトレーニングジムBASICS Mです。皆さんは、ジムに到着してすぐに筋力トレーニングを開始していますか?それとも、トレーニングの前にきちんとウォーミングアップをしていますか?筋力トレーニングの前のウォーミングアップは一見、時間を無駄にしているように感じるかもしれません。しかし、この前段階のエクササイズは、実際にはトレーニングの効果を大幅に高める、そして皆さんの身体を守るための重要な役割を果たします。今回は、筋力トレーニングを始める前にウォーミングアップがなぜ必須項目であるのか、その科学的な理由とともに具体的な方法について詳しく解説します。ウォーミングアップの効果ウォーミングアップとは、本格的な運動や筋力トレーニングを始める前に行う軽い運動のことを指します。その主な目的は、体を運動に適した状態にすることです。具体的には、以下ような効果を期待できます。筋肉の反応速度が飛躍的に上がる筋肉は、温度に依存する性質があり温度を一定まで高くすると反応が速くなります。筋肉の温度を1度上げるごとに反応速度は20%上がります。人間の体温は通常36.5℃から37.5℃の範囲にありますが、筋肉組織の温度も大体この範囲になります。筋肉の温度は運動によって上昇し、ウォーミングアップや運動を行うことでさらに上昇します。室温20度前後での筋肉の温度は約36度なので、ウォーミングアップにより筋肉の温度を39度まで上げることで、筋肉の反応速度は60%も向上することになります。これは筋肉が高温になることで酵素の活性化が促進され、筋肉の収縮と弛緩の速度が速くなるからです。つまり、ウォーミングアップにより筋肉の反応速度が飛躍的に上がるというわけです。滅多に起こらないことですが、筋温が41度以上の状態が持続すると、タンパク質が変性し筋肉細胞が死んでしい、パフォーマンスが下がってしまうことです。通常の筋トレやウォーミングアップでは起こらないことですが、気温が高い場所の場合、ウォーミングアップの時間を短くしたり、高温の場所で行わないようにする、熱発など体調不良の時は避けるなどの対策をしましょう。ケガの予防(筋肉・関節の準備)筋力トレーニング時の怪我(捻挫や肉離れなど)の多くは、ウォーミングアップを怠り、筋肉や関節が十分に準備されていない状態で筋トレを始めた結果、起こることが知られています。ウォーミングアップにより筋肉と関節が適切に伸縮し、筋肉の力を最大限に引き出すことが可能になります。これにより、筋力トレーニング時の怪我のリスクを大幅に減らすことができます。パフィーマンスの向上(心拍数の増加・血流改善など)ウォーミングアップによって体温が上昇すると、筋肉の伸縮性が向上し、筋力やパワーが増大します。また、心拍数が増加し、全身の血流がよくなります。これにより心臓から筋肉への血液の流れが増え、筋肉に必要な酸素と栄養素がより多く運ばれます。これによりトレーニング効率が大幅に向上します。筋力トレーニング時の心負荷を軽減する突然激しい運動を始めると、心臓は筋肉に十分な酸素を供給するために速く働かなければなりません。これは、心臓に不必要なストレスを与える可能性があります。特に、心血管疾患のリスクがある人にとっては、突然の運動は危険を伴います。ウォーミングアップによって、心臓は徐々に運動に対応する状態になります。これは心臓にとって、急激な負荷増加よりもずっと安全な方法です。そのため、ウォーミングアップは筋力トレーニングだけでなく、あらゆる種類の運動において重要な役割を果たします。心臓への負荷を最小限に抑え、運動効果を最大化するためにも、ウォーミングアップを適切に行うことが推奨されます。神経系が活性化し、筋肉への意識を集中させるウォーミングアップで体温を上昇させることで神経系の連携が向上(伝導速度の上昇)し、筋肉への信号伝達が早くなり、反応速度が向上します。また、筋トレを行う特定の筋肉へのウォーミングアップを行うことで、筋肉への意識を集中させる効果があり、トレーニングパフォーマンスが向上すると報告されています。ウォーミングアップの最適な流れとポイントまた、パーソナルトレーニングジムなど時間の制約などから有酸素運動を行う余裕がない場合は、動的ストレッチから始め、時間を短縮しても問題ありません。動的ストレッチも血流を改善し、筋肉と関節を適切に動かすための準備を行います。ただし、できるだけ本格的な運動の前に全身を温めることが理想的です。時間に余裕のあるトレーニングジムへ行った際などは、専門家のサポートが無いことやケガの防止などを考慮し、全身の有酸素運動から行うことを推奨します。※ウォーミングアップで体力を消耗しないこと、高温の場所では室温管理、水分補給を行うなど考慮しながら進めます。(筋肉の反応速度が飛躍的に上がる:項目参照)全身を温める軽い有酸素運動(5-10分)5分間でも、ジョギングやサイクリングなどの軽い運動で全身の筋肉を動かし、心拍数を上げることで血流を改善します。これにより、筋肉への酸素供給が向上し、筋肉の柔軟性が増します。また、心臓への急激な負荷を避けることができます。ここで、血流や心拍数が上がるような動的ストレッチと組み合わせても構いません。動的ストレッチング(10-15分)ジョイントサーキュラーズ(関節を大きく円を描くように動かす)やレッグスイング(足を前後左右に振る)などの動作で、特に筋力トレーニングを行う予定の筋肉群に対する血流を向上させ、関節の可動域を広げます。これにより、筋力トレーニング時のパフォーマンスが向上し、ケガのリスクが低減します。スペシフィックウォームアップ(5-10分)具体的に行うトレーニングに対して、同じような動作を軽い負荷で行うことで、その運動パターンを身体に思い出させ、神経系の活性化を促します。これにより、筋肉への意識が向上し、筋力トレーニングの効率が上がります。本格的な筋力トレーニングの開始これらのステップを踏むことで、筋力トレーニングの前に体を最適な状態に調整することができます。ただし、これらは一般的なガイドラインであり、個々のフィットネスレベル、目標、予定しているトレーニングによって、ウォーミングアップの詳細は変わることがあります。自身の状態やニーズに合わせ必要時、専門家に相談し調整することが重要です。おわりにウォーミングアップは、筋力トレーニングの質と効果を大幅に向上させ、ケガのリスクを軽減するための重要な手段です。この記事がお役に立てば幸いです。また、BASICS MのYouTubeチャンネルでは、より詳しいトレーニングの情報やアドバイスを配信しています。チャンネル登録を忘れずに!最後に、BASICS Mのウェブサイトには、運動や健康に関する豊富な情報があります。再度訪問いただき、より多くの情報を得ることをお勧めします。トレーニングに対する皆さんのをサポートし、目指すフィットネスレベルを達成するお手伝いをしたいと思います。参考文献オースティンカレント.石井 直方.SCIENCE of STRENGTH TRAINING 筋トレの科学.西東社.2021/11/8Woods K, Bishop P, Jones E. Warm-Up and Stretching in the Prevention of Muscular Injury. Sports Medicine 2007(ケガの予防)Fradkin AJ, Zazryn TR, Smoliga JM. Effects of warming-up on physical performance: a systematic review with meta-analysis. J Strength Cond Res. 2010(トレーニング効率の向上)McGowan, C.J., Pyne, D.B., Thompson, K.G. and Rattray, B., 2015. "Warm-Up Strategies for Sport and Exercise: Mechanisms and Applications." Sports Medicine, 45(11), pp.1523-1546.Fradkin, A.J., Zazryn, T.R. and Smoliga, J.M., 2010. "Effects of warming-up on physical performance: a systematic review with meta-analysis." The Journal of Strength & Conditioning Research, 24(1), pp.140-148.-1--pl,m McGill, S., & Andersen, J. (2015). A comparison of lumbopelvic motion patterns between people with and without low back pain during two lower limb movement tests. Clinical Biomechanics, 30(7), 696-702.McMillian, D. J., Moore, J. H., Hatler, B. S., & Taylor, D. C. (2006). Dynamic vs. static-stretching warm up: the effect on power and agility performance. Journal of Strength and Conditioning Research, 20(3), 492.Behm, D. G., & Chaouachi, A. (2011). A review of the acute effects of static and dynamic stretching on performance. European Journal of Applied Physiology, 111(11), 2633-2651.