身体の健康を保ち、理想のボディラインにするには、トレーニングで身体を鍛えることはもちろん大切ですが、適切な栄養摂取も不可欠です。特に、ビタミンCは私たちの健康やトレーニングの効果を高めるためのカギとなる栄養素の一つです。今回は、ビタミンCがどのようにして健康、またトレーニングのパフォーマンスや回復をサポートするのか。日常の食事や、サプリメントからの最適な摂取量を、ハーバード大学やメイヨークリニックなどの情報をもとに探っていきます。一緒に、運動と栄養のバランスをとりながら、理想の体と健康を手に入れましょう!ビタミンCとはビタミンCは別名(アスコルビン酸)といい、水溶性のビタミンです。私たちの体では自ら作ることができないため、食事から摂取することが必要です。ビタミンCの効果ビタミンCは、私たちの身体にとって欠かせない栄養素の一つで、美容や健康にたくさんの効果を持っています。ビタミンCの効果を科学的な側面から解説していきます。筋トレ後の活性酸素を中和するビタミンCは強い抗酸化作用を持つ栄養素の一つです。運動をすると、私たちの体はエネルギーをたくさん使います。このエネルギーを使う過程で、"活性酸素"が体内で増えるのですが、長時間の運動や、強度のある運動をすると活性酸素が多く発生します。活性酸素が多く発生すると、体の抗酸化能を上回り体の中の細胞にダメージを与えてしまいます。この状態が続くと、老化が早まったり、がんのリスクが高まると言われています。ビタミンCは強力な抗酸化作用を持ち、このような活性酸素やフリーラジカルを中和することができます。そのため、トレーニーは肉体の衰えを防ぐためにもビタミンCのような抗酸化物質を摂ることを推奨されています。※運動による利益は活性酸素の増加を上回るため、運動をすること自体は問題ありません。筋肉の修復に役立つ:コラーゲンの生成筋トレ後に感じる筋肉の痛み。それは筋肉が「成長しているサイン」ですが、その痛みを和らげて、回復をスムーズにするサポート役がビタミンCです。筋トレをすると、筋肉は小さなダメージを受けます。このダメージを修復することで筋肉が成長するのですが、その修復作業にビタミンCが大活躍します。ビタミンCは、筋肉を修復するためのコラーゲンの生成をサポートし、回復を早める役割を果たします。免疫力UPトレーニングは免疫力をUPさせますが、激しいトレーニングは一時的に免疫機能を下げることが知られています。ビタミンCは、私たちの体を病原体や異物から守る白血球の働きをサポートします。適切な量のビタミンCを摂取することで、白血球の働きが向上し、免疫力を強化する効果が期待されます。筋肉に必要な鉄の吸収をサポート鉄は酸素を運搬する赤血球の主要な役割を担っています。そのため、鉄は筋肉の酸素供給に必要で、筋トレのパフォーマンスや回復に影響を与えます。ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を促進し、筋肉への酸素供給をサポートします。鉄の摂取が不足している場合や、筋トレ頻度や強度が高い場合、ビタミンCを十分に摂取することで、鉄の効果的な吸収と筋肉への酸素供給をサポートすることができます。その他(ストレス対策や脂肪燃焼にも必須)ビタミンCはストレスを跳ね返す副腎皮質ホルモンの合成に必須なためストレスを感じると多量に消費されます。また、脂肪燃焼をするカルチニンの合成にも必須な栄養素です。この他50もの働きをもつビタミンCは、私たちに必須の栄養素だということがわかります。ビタミンCを多く含む食べ物ビタミンCは、柑橘類の果物や果汁、多くの野菜に豊富に含まれています。特に、オレンジ、キウイ、ブロッコリー、パプリカなどはビタミンCの良い供給源です。食べ物100gあたりのビタミンC含有量ランキングビタミンCは私たちの健康に欠かせない栄養素ですが、どの食材が最も豊富に含まれているのでしょうか?ここでは、ビタミンCを多く含む食材のランキングを紹介します。※文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)より(https://www.mext.go.jp/amenu/syokuhinseibun/mext01110.html)食品含有量(mg)備考欄アセロラ 酸味種 生1,700生のものは入手困難(冷凍品などであり)青汁 ケール1,100ケールをミキサーで青汁にした場合パセリ 乾燥820小さじ1でパセリ2gアセロラ 甘味種 生800生のものは入手困難(冷凍品などであり)緑茶 煎茶260グァバ 220のり210ミニパプリカ200赤・オレンジピーマン180-170油炒め>生黄ピーマン160-150油炒め>生芽キャベツ 160生ゆず160果皮、生ブロッコリー150-140焼き>生・レンジキウイフルーツ140-71黄色>緑すだち110レモン100かぶ82生:火を通す場合、大きめに切る、スープカリフラワー81生:同上豆苗79生:同上にがうり・ゴーヤ75油炒めマンゴー・ドライマンゴー69ルッコラ66いちご62オレンジ60ネーブルほうれんそう60ビタミンC食材:食べ方のポイントビタミンCは熱や光に敏感で、加熱することでその量が減少します。そのため、ビタミンCを多く含む食材を最大限に活かすための食べ方のポイントは以下のとおりです。生食:ビタミンCは、生で食べることでビタミンCを多く摂取できます。例えば、パプリカやキウイ、ブロッコリーなどの野菜や果物をサラダやスムージーとして摂取するのがおすすめです。軽く蒸すか炒める: 加熱調理する場合、長時間の調理よりも短時間で軽く蒸すか炒めることで、ビタミンCの損失を最小限に抑えられます。スープにする: 野菜を茹でたスープにビタミンCは溶け出しています。スープとして摂取することで一部のビタミンCを摂取することができます。保存方法に注意: ビタミンCは光や酸素にも敏感です。冷暗所で保存で劣化を遅らせることができます。これらのポイントを活かすことで、ビタミンCを多く含む食材からの栄養価を最大限に引き出すことができます。ビタミンCのサプリメント摂取食事だけではビタミンCの摂取が足りない場合、サプリメントで補うこともおすすめです。しかし、ビタミンCの過剰摂取は下痢や吐き気などの消化器系の症状を引き起こす可能性があるため、適量を守ることが大切です。食事とサプリ、どちらがいいの?ハーバード大学公衆衛生学部の2023年3月の記事によると、ビタミンを食事から摂取しても、サプリメントから摂取しても、吸収に違いはありませんとの記述があります。(※5)しかし、メイヨークリニックの記事によると、抗酸化作用や、がんの抑制作用を期待して摂取する場合は、食品からの摂取をすすめています。(※4)Cancer. Eating a diet rich in fruits and vegetables might lower your risk of many types of cancer, such as breast, colon and lung cancers. However, it's not clear whether this protective effect is related to the vitamin C content in the food. Taking oral vitamin C supplements doesn't appear to offer the same benefit.果物や野菜を豊富に含む食事を食べると、乳がん、結腸がん、肺がんなど、多くの種類のがんのリスクが低下する可能性があります。しかし、この保護効果が食品中のビタミンC含有量と関連しているかどうかは明らかではありません。ビタミンCサプリメントを経口摂取しても同様の効果は得られないようです。Mayo Clinicこのような点から、食事からの摂取を優先することが推奨されていますが、不足する部分はサプリメントで補完することも考慮してもよいでしょう。ビタミンCの1日推奨摂取量と摂取方法1日推奨量厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」から、ビタミンCの食事摂取基準は、成人(15歳以上)における推奨量が100mgと定められています。厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020 年版)によると、通常の食品からの摂取で過剰摂取による健康障害の報告が見当たらないことから、摂取量の上限は設定されていません。しかし、腎障害を持つ人に、数gのビタミンCを投与した条件では、腎蓚酸結石のリスク が高まることが示されています。そのため、野菜や果物など通常の食品以外から1g/日以上の量を摂取することは推奨できないと示されています。(※7)摂取タイミングビタミンCは1度に多量摂取するよりも、細かく分けて摂取する方が吸収率が高く、抗酸化能も高く保持されることがわかりました。(※)血中ビタミンCの体内保持量は1日3回>1日2回>1日1回摂取の順で大きくなったため、1日3回に分けて摂取する方がビタミンCの効果を持続させることがわかります。ビタミンCを摂りすぎるとどうなるの?ハーバード大学公衆衛生学部の2023年3月の記事によると「一般に健康な人では、ビタミンCを多く摂取しても尿中に排泄されるため、大量に摂取しても毒性はありません」とのこと。しかし、毎日3000 mg を超える摂取では、下痢や胃腸障害の報告、腎臓病または結石の病歴のある人では、腎臓結石の増加、尿酸値の上昇(痛風の危険因子)などの副作用が発生する可能性があると記述されています。(※5)そのため、ビタミンCを多く摂取する場合は厚生労働省が定める1日1gまでを守ることが大切です。過剰摂取による副作用を防ぐためにも、定期的に体の様子を確認しながら、適量を摂取することを心がけましょう。ビタミンCと一緒に摂ると良いものビタミンCと一緒に摂ると良いとされる栄養素や食材には以下のようなものがあります鉄:ビタミンCは非ヘム鉄の吸収を促進します。特に植物性の食品からの鉄の吸収を向上させるため、鉄豊富な食品(例:ほうれん草やレンズ豆)と一緒に摂取することをおすすめします。ビタミンE:ビタミンCはビタミンEの抗酸化作用を再活性化する役割があるため、この二つのビタミンを一緒に摂取すると、その抗酸化効果が高まると言われています。コラーゲン:ビタミンCはコラーゲンの生成をサポートします。コラーゲンサプリメントを摂取する場合、ビタミンCと一緒に摂るとコラーゲンの生成が促進されると言われています。フラボノイド:これらの植物化合物は、ビタミンCと一緒に摂取することで、ビタミンCの抗酸化作用を強化するとされています。フラボノイドはブルーベリーやカカオ、緑茶などに含まれています。バランスの良い食事を心掛けることで、ビタミンCを最大限に活用することができます。ビタミンCやビタミンEは筋肉増強にマイナスに働くと言われましたこの話題は、トレーニングをしている人からたまに聞くお話です。このような情報があると、じゃあどうしたらいいの!?と思ってしまいますよね。実は、多くの文献では、ビタミンCやビタミンEのような抗酸化物質は、酸化ストレスと筋肉損傷の軽減に寄与することが報告されていますが、筋肉の回復に対するプラスの効果を示す証拠は現時点では不十分という報告がでており、現時点(2023年)でも、それは明らかになっていません。抗酸化物質を摂取するにはサプリメントよりも、果物や野菜からなる適切な食事の方がより適切な方法であることが、多くの研究で強調されているのが現状です。この結果から、サプリメントの過剰摂取は避けて、果物や野菜を日常的に摂るよう心がけることが大切なことがわかります。(※8)おわりに適切な栄養摂取は、トレーニングの効果を最大限に引き出すための鍵となります。ビタミンCを適切に摂取し、健康的な身体をつくっていきましょう!参考文献Madalyn Riley Higgins,Azimeh Izadi, Mojtaba Kaviani,Antioxidants and Exercise Performance: With a Focus on Vitamin E and C Supplementation.Int J Environ Res Public Health. 2020 Nov; 17(22): 8452.アメリカ国立衛生研究所(米国の主要な生物医学研究機関)Dietary Supplements for Exercise and Athletic Performancehttps://ods.od.nih.gov/factsheets/ExerciseAndAthleticPerformance-Consumer/カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)EXERCISE AND FITNESSMAY 24, 2023The truth about supplements for athletes and whether you should be using themhttps://health.ucdavis.edu/blog/cultivating-health/the-truth-about-supplements-for-athletes-and-whether-you-should-be-using-them/2023/05メイヨークリニック:ビタミンCの効果と研究Aug. 10, 2023.Vitamin Cハーバード大学:ビタミンCについてLast reviewed March 2023.Vitamin C文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂)https://www.mext.go.jp/amenu/syokuhinseibun/mext01110.html厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020 年版)P246https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf筋トレとビタミンC・Eのサプリメント摂取の組み合わせによる筋肉量と筋力への影響: 系統的レビューとメタ分析(これまでの多くの研究を調べた分析)Maurilio T Dutra, Wagner Rodrigues Martins, Alexandre L A Ribeiro, Martim Bottaro.The Effects of Strength Training Combined with Vitamin C and E Supplementation on Skeletal Muscle Mass and Strength: A Systematic Review and Meta-Analysis.J Sports Med (Hindawi Publ Corp). 2020 Jan 8;2020:3505209.FANCLによるビタミンCの研究:どっちがお得?ビタミンCの摂取方法